弁論ブログ

ディベートブログですがニッチなことを書きます。

文章生成AI(Chat GPT)にディベートさせるとどうなる

こんにちは。

 

最近AIの発展が目覚ましく、絵を描かせたり文章を書かせたりの能力がとんでもなくなっているとのことです。

IBMのAIがハリッシュナタラジャンとディベートしたりしたニュースが何年か前にありましたが、エビデンスベースのことをいっぱい言う感じのAIだったと記憶しています。

IBMのやつがいまどうなっているかは存じ上げないのですが、最近文章生成系のAIで話題になっているのはChat GPTですね。

 

Wikipediaによると

ChatGPT(チャットジーピーティー、Generative Pre-trained Transformer)[1]は、OpenAIが2022年11月に公開したしたチャットボット。OpenAIのGPT-3.5ファミリーの言語モデルを基に構築されており、教師あり学習強化学習の両方の手法で転移学習されている。

https://chat.openai.com/chat

とのことで、あまりよくわかりませんが、ツイッターのタイムラインを見ている限り、なんかすごいいい感じに質問に対して返答をくれるやつのようです。

 

気になるのは、果たしてこいつがディベートのプレパを手伝ってくれるのかということで、先にやった人がいないかフォロー中アカウント内のタイムライン検索で見たところ、ディベートさせてみたツイートは見つからなかったので、モーションを入力して、アーギュメントを教えてもらうということをやってみようと思います。

 

 

さて、Chat GPTは日本語のインプットに対しても余裕で返答くれますが、挙動を見た感じ一旦翻訳を挟んでいるっぽいので、英語でインプットして英語で返ってきたものをDeepLで翻訳するということをやっています。

 

こんな感じで今年のワールズのR1のモーションについて聞いてみます。
「災害が起こった地域において、政府による復興支援は全て影響を受けた市民への現金支給によるものとする」ですね。

 

 

なにやらサインポスト的なものを返してくれました。

翻訳をつけておきます。(自動翻訳の精度も最近すごいですよね)

支持意見:

・直接現金給付は、国が再建プロセスを指示するのではなく、被災した市民が再建と復興の最善の方法を自ら決定することを可能にする。
・直接現金給付は、政府が大規模なプロジェクトを調整し、資金を提供する必要がないため、国家による再建・復興努力よりも効率的で費用対効果が高い。
・直接現金給付は、被災した市民にとって、より迅速かつ柔軟な形で支援を提供することができ、当面のニーズと長期的な復興目標に対応することができる。
反対意見:

・直接の現金給付は、インフラや再建のニーズに対応していないため、災害が起こりやすい地域の完全な再建と復興には十分でない可能性がある。
・直接の現金給付は、特に銀行サービスへのアクセスや利用ができない被災者全員に行き渡らない可能性がある。
直接の現金給付は、再建と復興のための十分な貯蓄や資源を持たない低所得者層の経済的負担を増大させる可能性がある。
・学校、病院、公共インフラなどの集団的な復興ニーズをカバーできないため、直接的な現金給付はコミュニティのニーズに対応するのに十分でない可能性がある。

 

まず、自然言語で入力された論題に対して正しく解釈して返答をするということがとんでもなくすごいですね。

支持意見を見ると、フィロ・プラ・プラの構成になっていて、たしかにこういうサインポストでファーストやってもよさそうな雰囲気を感じますね。

しかしながら、肝心の中身を見てみないといけてる議論かどうかはわからないので、それも聞いてみましょう。

 

第一の意見は、直接現金給付によって、国家が再建プロセスを指示するのではなく、被災した市民が再建と復興の最善の方法を自ら決定することができるというものである。つまり、被災した人々は、自分の好きなように使えるように現金を渡される。家の修繕や家具の購入など、生活再建に必要な費用に充てることができます。

被災者に直接現金を渡すことで、国は被災者に自分と家族にとって何がベストなのかを判断する自主性を与えているのです。これにより、再建と復興に向けたより柔軟で個別的なアプローチが可能になります。また、市民が自分たちの復興プロセスをコントロールし、主体性を持つことができるようになります。

また、時間とコストのかかる大規模な復興事業を政府が計画・実行する必要がないため、より効率的なアプローチとなります。また、市民が直接現金を受け取ることで、地域の資源やサービスを活用することができ、費用対効果や効率性も高まります。

全体として、直接現金給付は、被災した市民が、国がそのプロセスを指示するのではなく、自分たちで復興をコントロールし、自分たちのニーズに最も適した方法で生活を再建する力を与えることができるという考え方です。

 

間違ったことは言っておらず、AREAっぽいストラクチャーになってるのがいいですね。ただ、まだややディベート的な理由付けとか具体化が弱いような気がしますね。

もう少し聞いてみましょう。

 

第一に、直接現金給付は、国が再建プロセスを指示するのではなく、被災した市民が再建と復興の最善の方法を自ら決定することを可能にするという支持意見である。つまり、被災した人々が自分の好きなように使えるように現金が渡され、そのお金で家を修理したり、新しい家具を買ったり、生活再建に必要なその他の費用をまかなうことができるのです。

このアプローチは、被災した市民が、再建と復興に何が必要かを最もよく知る立場にあるという考えに基づいています。被災者に直接現金を渡すことで、国は被災者に自分と家族にとって何がベストなのかを判断する自主性を与えることになります。これによって、再建と復興に向けたより柔軟で個別的なアプローチが可能になります。また、市民が自分たちの復興プロセスをコントロールし、主体性を持つことができるようになります。

さらに、現金を直接市民に渡すことで、政府は、時間とコストのかかる大規模な復興プロジェクトを調整し、資金を提供する必要がなくなります。また、被災した市民が地元の資源やサービスを活用できるため、費用対効果も高く、効率的なアプローチとなり得る。

さらに、直接的な現金給付は、被災した市民の具体的なニーズにより敏感に対応することも可能です。従来の復興支援活動では、計画や実施に長い時間がかかり、完成品が被災した市民のニーズを満たさない可能性があります。現金を直接市民に渡すことで、当面のニーズと長期的な復興目標に、市民にとって最も適切な方法で対処することができます。

全体として、最初の支持意見の背景にある考え方は、被災した市民に直接現金を渡すことで、国がそのプロセスを指示するのではなく、市民が自分たちの復興をコントロールし、彼らのニーズに最も適した方法で生活を再建する力を与えることができる、というものです。これは、より効率的で費用対効果の高い、個人的な再建と復興のアプローチとなりうる。

 

フィロっぽい部分を伸ばしてほしかったのですが、3つ目のアーギュメントと重複するような部分が伸びてきました。

聞き方を変えて、プリンシプルのベースの部分をもう少し掘ってもらいましょう。

 

 

被災した市民は、災害後に直面する具体的な課題やニーズを直接かつ個人的に理解しているため、再建や復興に必要なものを知る上で最適な立場にあります。彼らは、自分の家や所有物の被害について直接知っており、また、自分たちのコミュニティに対するより広い影響についても理解している。

災害の影響を直接受けているため、再建や復興の過程で取り組むべき具体的なニーズや優先順位について独自の見識を持っているのです。例えば、どの修理が最も急を要するか、どの品物を交換するのが最も重要か、どのサービスが地域社会で最も必要とされているかなど、よりよく知ることができるのである。

さらに、被災した市民は、再建と復興に役立つ地域の資源やサービスにも精通しており、より効率的で費用対効果の高い解決策の機会を見出すことができるかもしれない。

さらに、被災した市民に再建と復興について自分自身で決定する権限を与えることで、自分たちの生活をコントロールする力を与え、自分たちの復興プロセスに対する主体性の感覚を身につけさせることができる。これは心理学的にも有益で、人々は自分がコントロールできるようになったと感じることができ、無力感や不安感を軽減することができます。

全体として、被災した市民は、自分たちが直面している特定の課題やニーズを直接かつ個人的に理解しているため、再建と復興に何が必要かを知る上で最適な立場にあり、どの修理が最も緊急で、どの品目を交換することが最も重要で、どのサービスがコミュニティで最も必要とされているかを知っている可能性が高く、再建と復興のために利用できる地域の資源やサービスについての見識を持っているという考え方がある。

 

 

なかなか具体性が増して、強いファーストになってきたような感じがします。

ざっくり議論を作らせて、深掘りしたいところをピンポイントで聞いてみると良い議論に近づく可能性がありますね。(技術の過渡期においては人間とAIが協業するのが効率的になりがちなやつかもしれません)

 

次は肯定側の第一論点に対して反論させてみましょう。

 

直接的な現金給付によって、被災した市民が再建と復興の最善の方法を自分で決めることができるという最初の支持意見に対する反論の可能性は、被災した市民が再建と復興について十分な情報を得た上で決断するための知識や専門性を持っていないかもしれないということである。国からの指導がなければ、被災した市民は安全で持続可能な方法で家や生活を再建することができないかもしれない。

もう一つの可能性のある反論は、直接的な現金給付は、インフラや再建のニーズに対応していないため、災害が起こりやすい地域の再建と復興に十分でない可能性があるということである。現金給付は緊急のニーズへの対応には役立つかもしれないが、損傷や破壊を受けた家、ビジネス、インフラを完全に再建するには十分ではないかもしれない。

さらに、現金給付は、特に銀行サービスへのアクセスや利用ができない人々や、高齢者、障害者、子どもなど脆弱な状況にある人々など、すべての被災者に行き渡らない可能性があります。これらの人々は、現金にアクセスするのに苦労したり、生活を再建するための支援体制が整っていない可能性があります。

さらに、学校、病院、公共インフラのような集団的な復興ニーズはカバーできないため、直接的な現金給付はコミュニティのニーズに応えるには十分ではないとも言えるでしょう。国や政府は、こうした集団的なニーズに対して責任を持ち、コミュニティに提供すべきです。

全体として、これらの潜在的な反証は、直接現金給付は一定の利益をもたらすかもしれないが、被災した市民が完全に再建・復興するために必要な支援、指導、資源を提供しないかもしれないので、災害が起こりやすい地域の再建・復興にとって最善の解決策ではない可能性があることを示唆している。

 

 

けっこうたくさん反論を出してくれました。

これもまだサインポストレベルですが、よさそうなやつを深掘りするように指示すると理由や具体例を出してくれそうです。

 

 

まとめと考察

・モーションを与えると、ちゃんと議論を返してくれる。自然言語処理技術の進歩がすごい。

ディベート的に重要な部分を見極めて深掘りの質問をすると議論を深めてくれる。どこを詰めると強くなるかの判断までAIに任せられるようになるかは不明

・誘導した際の議論のクオリティは高め。大会ブレイクしてもおかしくないようなレベル感。

・古典ではないが一般性のある論題1つで試してみただけなので再現性は未確認

・反論もしてくれるので、AIに勝手にディベートさせることもできそう。

→いい感じに使いこなせば何かしらの練習に使えそう。プレパ練で深まり切らなかったときにアイデアだしてもらうとか、AIの議論を土台にして反論やクロージングの練習するとか。

 

注意:大会の試合中ではインターネット検索禁止されていることが一般的なので、当然AI使用もダメですね。

→AIに考えさせた議論だけでディベートする(人間は質問誘導だけする)遊びができるかもしれない。