弁論ブログ

ディベートブログですがニッチなことを書きます。

ついに日本語即興ディベートの大会に出た

こんにちは。

 

約2年前から興味を持っていた日本語即興ディベートの大会についに出場しました。

日本語ディベート歴としては、オフィシャルなものでは大学4年生の時に「やったるで阪大」という今はもう活動していない日本語ディベートサークルとして、準備型日本語ディベートの新人戦の大会に出たことがあって、新人戦なのに議論の質たけーなーと感じたことがあります。全勝でしたが普通に点足りずに決勝行けなかった。

 

そういえば最近牛レバー的な話題がありますが、上記の経験や日本語ディベーターの方々の大会記録系の記事を読んでいる感覚として、日本語アカデは「現実の世界で実際に交わされる論からかけ離れたゲーム性を重視した議論」よりも実際の議論に近い質実剛健な論を好む傾向にあるような印象を持っています。

おそらく英語パーラの人々が混同しているのは、英語アカデでそれなりに是とされているスタイルで、純粋に論理ゲームとしての側面を追求したような議論が流行ることはあるようです。(たとえばよく聞くのが、死刑廃止論題でNEGの「現状刑罰が死刑のみの外患誘致罪だけをexceptして死刑存続し、他の罪による死刑は廃止するカウンタープラン」が流行したことなどでしょうか)

ちなみに個人的にはこういったスタイルもわりと好きで、興味深いゲーム性をしていると思っています。英語アカデの大会も3回くらい出たことがあります。

 

 

今回の大会に出た経緯ですが、日本語即興ディベート団体であるCDSプロジェクトのオンライン大会開催が発表されて、我々英語あんまりうまくない英語パーラ勢は沸き立ってたんですが、学生大会であることが発表されてしょんぼりしたものの、なんやかんやあって負けサプリ(パーラでいうシャドウもしくはスイングの、タブ上でオートマティック負けになるバージョン)として出れることになりました。

 

思ったことを雑多に箇条書きで書きます。(ブログを最近更新していなかった影響で、まとまった流れのある文章をうまく書けなくなっているため箇条書きです)

 

楽しい

スピーチをしていてアドレナリン(脳汁?)みたいなやつが出る感覚があると楽しいなと感じるんですが、日本語ディベートはその頻度が高いような気がします。

外国語という言語的バリアが取り除かれて、考えたことが高い再現度で出力できるというのはかなりストレスフリーですね。

英語だったらうまく伝えきれないニュアンスを出せたりとか、例の説明がスムーズで解像度高かったりとか、気持ちよくなる要素が随所に存在しています。

キャッチーなワーディングを1スピーチで複数個褒められるという、英語ではこれまでになかった経験をしたというのもあります。

 

情報密度は濃い

コンスト5分のフォーマットですが、普段と同じくらいのプレパで同じくらいのメモを書いて5分間で収まるので、英語で7分スピーチするのと単純計算で7/5倍の密度で発信できていると考えられます。もっというと英語よりも細かいニュアンスを足したり例の説明を細かくしたりしているのでもうちょっと密度は高いように思います。

相手のスピーチを聞くことに関しては、全員がそういった情報密度で話してくるので、国内大会の英語スピーチを聞くよりも疲弊する可能性があります。

 

現状ではおそらく英語パーラ勢がけっこう有利

入賞チームがほとんど(6チーム中5チーム?)英語パーラの人たちだったというのもありますし、実際にプレイしていてフォーマット/言語の差によるストレスをほとんど感じなかったというのがあります。いつも通りのプレパをして、ストラテを考えて、ケースを建てて、出力する言語だけ違うって感じですね。逆に日本語アカデ勢はフォーマットとか、ストラテとかの違いに苦労してそうな印象を受けました。

とはいえ、実際に対戦した感触としては、日本語アカデの人たちも普通にレベル高いなと思っています。今回負けサプリだったので、常に0勝のチームと当たるようになっていて、3ラウンドとも日本語アカデの経験者との対戦だったのですが、どのラウンドも普通にクローズでハイレベルでした。特にミクロな議論や反論が丁寧だったイメージがあります。

アカデ的な用語(DAフローとか伸ばしてくださいとか)とパーラっぽい単語(代替可能性とかプリンシプルとか?)が入り混じったラウンドは異種格闘技感があってなんかいいですね。

 

英語パーラOB・OGに対する潜在的な需要は結構大きいような気がする

今回出場していた神大OGのFさんもそんな感じのことを言っていたのですが、「ディベートは楽しいけど英語はもういいかな」というようなことを思っているOB・OGは結構多いような気がします。

他にも、「しばらく離れていたせいで英語ちゃんとでなさそう・聞けなさそうだから再開する敷居が高い」とかを考えている人もいると思います。

そういった人たちの受け皿・遊び場として日本語即興ディベートはかなり良いと思っていて、門戸を開けばちょくちょく出たいと考える人は結構いるんじゃないかと思います。

ちなみにぼくも英語はもういいかなと内心思いつつも、ディベートの楽しさと他の趣味の無さによる動機が上回ってディベートを続けている派です。

 

講評

アカデ特有(?)のジャッジ文化として、RFDのかなり終盤に勝敗を伝えるというのは興味深いです。聞く側としてはすごくそわそわするので個人的にあまり好きじゃないですが、話を聞きながら「お、これは勝ったか?」「いや怪しいな・・・」って考えたりパートナーとチャットしたりするのは楽しいっちゃ楽しいですね。あと勝敗をさっさと出さないほうが内容をちゃんと聞きがちという効果を狙った文化かもしれません(RFDする側だったらやってみたいという気持ちもあります)。

決勝後に全体に対して講評(チェアによるジェネコメとRFDの説明)をするというのはオーディエンスに対して教育的でとても良いシステムだと思います。

ちなみに決勝戦の主審で講評をされていたakさんがもうすぐ即興ディベートの本を出版するそうですね。ぼくは速攻で予約しました。

 

音源

せっかくなのでR3の自分のスピーチを貼ってみます。MGだけです。

「プラクティカルな・・・実利的なメリット」とか「コンパr・・・比較」とか「パワ・・・効果」とかのカタカナが漏れ出て修復を試みている箇所はありますが、そこそこちゃんとしてる感がありますね。強調する時に関西弁の「めちゃめちゃ」を使っているのはよくないですが。

「幼少期の舌は苦いものを毒だと認識する性質があるのに、炭酸と甘味料で飲みやすくしている」、「魔剤魔剤言って楽しそうに飲む」みたいな明らかにぼくの英語力だとすっと出てこないような表現が日本語だとぬるぬる出てくるのも良いですね。

 

おまけ

ちなみに約2年前の記事の最後に書いた、「JPDUの規約には何語でディベートするか規定したものはない」ということに関して、今確認してもやはり言語指定はありませんでした。

各大会のブリーフィングスライドも、このことを書いたのを気に注視していたのですが、ジャッジする言語を規定したものはあっても、ディベートする言語は規定されていないことがほとんどなので、JPDUの大会でGFで突然日本語でスピーチするやつが出現したとしても、対処する方法が明確化されていないというセキュリティホールを抱えていることになります。

 

CDS Projectの大会ルールにはスピーチは日本語で行う規定がありますので、うっかり英語でスピーチをすると反則になります。

これを逆手に取って日本語化していないディベート的外来語を使った相手に対して反則負けを訴えるという戦術が頭に浮かびましたが、これがうっかり取られて流行するとみんな安全のためにすゑひろがりずみたいなスタイルのスピーチを行う界隈になってしまう可能性があるのでやらないほうがいいと思います。