弁論ブログ

ディベートブログですがニッチなことを書きます。

オフライン大会の運営ノウハウの伝承がそろそろやばいのではないかという話

こんにちは。

 

ワクチン接種率は先進国でもトップレベルに躍進し、いわゆる第5波も未知の理由により驚くほど収束しましたが、いまだにディベートのオフライン大会は復活の兆しがないように見えます。今回はその原因と発生する問題について書いていきます。

昨日BP Novice West終わりの人々と話していた内容に基づきます。

 

 

(1)オフライン大会が再開されていない理由の考察

スポーツや音楽、eスポーツやクイズ大会など、規模やタイミングを調節しつつ、オフラインイベントを開催しているアクティビティも数多くありますが、ディベート大会はオフライン再開の目処が立っていない理由について3つ考えました。

 

①競技性の部分に関してのオンライン/オフラインの差異がかなり小さい

まず、はじめにあげた細々とでもオフラインイベントを併催しているアクティビティとの違いとして、オンラインで行うことによる致命的な競技性の毀損が生じないという点があげられると思います。

明らかに対面でしか行えないスポーツ類はもちろんですが、たとえばアクションゲームの大会においても、オンラインどれだけお互いの回線がよくても6フレーム(0.1秒)の遅延が発生するそうなので、キャラクターの動作を見てから対応できる領域(攻撃開始のモーションを見てからシールドを貼るなど)がオフラインとオンラインで差異が大きく、異なったゲーム性になってしまうので、オフライン大会が積極的に開かれているイメージがあります。

一方でディベートはというと、ターン制でスピーチが行われる競技なのでオンラインでもオフラインでも競技性に対する差異はほとんどないということになります(ちなみにプレパにおけるコミュニケーションの円滑性はオンラインとオフラインで明確に異なりますが、チーム同士は対面でどちらかの家などに集まるということはよく行われています)

 

②部屋がたくさん必要

大部屋を1つ借りれば良いようなタイプのアクティビティと異なり、ディベート大会の予選をちゃんと行おうとすると数十部屋(出場ディベーター数をNとした時にN/8〜N/4部屋)を確保する必要があります。

このハードルは意外に高くて、商用のレンタルスペース等で確保するのは容量的にもコスト的にも難しいところがあります。

なのでだいたい大学の教室を借りてディベート大会は行われていましたが、社会情勢に対して一番保守的なのが大学(かつ問題が起こったときに対外的に叩かれやすい)なので、課外活動で教室を貸してくれるのはなかなか難しかったのではないかという状況が推察されます。

 

③発声を伴う競技であること

競技の性質上、そこそこ大きな声での発声を伴う・人が集まる・小部屋で行われるので、時期によってはどうしても高リスクになります。同じ感染対策をしたとしても、競技中の発声がないeスポーツ大会などよりは高いし、多数の人たちが7分ずつ発生するという構造もなかなか難しいところがあったと思います。

また、鼻までちゃんとマスクして7分間スピーチしたら酸欠になる人がけっこう出てしまう可能性もありますね。

 

ちなみにオフライン大会を再開した際の感染対策に関する考察は1年半前くらいに書いてました。この記事を書いた頃はまさか1年半もオフライン大会が一切行われないとは思っていなかった。

 

(2)オフライン大会が開催されないことによる弊害

①コミュニティの縮小化

競技性に関してはオンラインとオフラインで差がないという話をしましたが、参加者の視点では、オフラインイベントがあることによる意義は大きいと思います。

以前からディベートをやっていた人々はオンラインでもそこそこ楽しくディベートできる人が多いかと思いますが、大学からディベートをはじめて、オンラインの大会にしか出たことがない初学者の人々への影響はどうでしょうか。

ORや大会後のコミュニケーションであったり、人々の反応や部屋の雰囲気を感じながらスピーチをすることや、生でブレイクラウンドを見る経験というもののモチベーションへの貢献度は小さくないと想像できます。ちなみに僕もブレイクラウンドのイントロがウケた時が一番気持ちいいのでそう思います。

実際、コミュニティ規模に関して、昨日行われたBP Novice Westの参加チームは12チーム(参考:2019年度は36チーム)だったそうです。個別に見ても部員がいなくなってしまったところや、2年生がほとんどアクティブでなくなってしまったところがあるとのことです。

 

②いざオフライン大会を再開しようとしても、ノウハウが失われてしまっている可能性がある

主題の件になりますが、オフライン大会の運営ノウハウは、経験者が卒業すると失われてしまう可能性が高いです。

レジェンドのTKT氏やSS氏らが数多の手順書を書き残しているであろうとは思いますが、それでも実際に運営してみないとわからないことというのがたくさんあると思います。

 

1000年以上の歴史を誇る祇園祭ですら、2年連続中止だと技術が失われてしまうという記事もあります。

 

実際、大会運営に関わるのは2回生以降であることが多いので、今の3回生までの代は少なくともオフライン大会を運営したことがないという状況だそうです。

 

 

(3)今後について

情勢にもよりますが、小規模でもオフライン大会を徐々に再開するのが望ましいのではないかと思います。

たとえば、

・16チーム程度のローカルBP大会(4部屋で済むので公民館等でも可能か)

・予選はオンラインでやって、本選はオフラインで、オーディエンスも積極的に入れる

などの、部屋インフラが誤魔化せる部分から徐々に実施していくのが無難な線じゃないかと思います。

 

追記:

TKT氏より大会運営に関する資料を共有いただきました。

 

また、時期によっては北の国からはるばるやってきて運営の協力することも可能とのことです。関西の人は是非頼ってみてください