弁論ブログ

ディベートブログですがニッチなことを書きます。

ロシアンルーレット型即興ディベート、暫定レギュレーション

こんにちは。

 

特に大会は控えていないけどなんとなくディベートがしたい時に練習会でやっている、

ロシアンルーレット即興ディベートの暫定レギュレーションを共有します。

最近は日本語即興の練習会で遊んでいますが、もちろん英語でもできます。

 

気軽にできるわりに、負荷は高めで良い脳トレになるのと、

スピーチ直前の緊張感やスリル(アドレナリンがでる感覚)が長く味わえるという利点があるので、なんとなくディベートしたい欲がある時にやってください。

ちょっと考えているのは、Twitterに最近導入されたスペース機能で飛び入りの人たちを集めてやるとよいのではないかなと思っています。

 

 

基本事項:

・推奨人数:4〜6人前後・・・これより多くても少なくてもできます

・スピーチ時間:5分・・・適宜調整してください

・プレパ時間:10分・・・適宜調整してください。

・ルーレット当選後プレパ時間:2分・・・よりハードにしたい場合は1分もしくは無しにしてください。

・POI:1〜4分・・・誰からでもできます。

・推奨論題:スタンスは両サイドすぐに思い浮かぶが、議論はある程度深掘りできるBPっぽい論題がいいです。

 

試合の進め方:

1.論題を決めて規定のプレパ時間(上記の場合10分)準備します。

2.肯定側の1stスピーカーをルーレットで決めます。(ルーレットアプリなどを準備してください)

3.肯定側1stがスピーチします。

4. スピーチ後、ルーレットで否定側1stを決めます。

5.規定のプレパ時間(上記の場合2分)準備して、否定側1stがスピーチします。

6.以下同様に、ルーレット→準備→スピーチを繰り返します。

7.参加者全員が1回以上スピーチ終了した時点で終了となります。

 

→以前は事前にスピーチ回数を決めて(肯定否定3スピーチずつ+リプライなど)からやって、1回もスピーチができなくなる人がでそうな場合はルーレットを調整していました(その場合すでに当選した人の緊張感が失われる)が、全員当たるまで回し続けるシステムを採用したことによって全員が1回以上スピーチすることとすでにスピーチした人が緊張感を持ち続けることの両立ができるようになりました。

 

その他:

・特定のスタイルはないので、スピーチに関する制限は無いです。反論中心でもBPのエクステンションっぽいスタイルでもOKとします。

・例外として、同じ人が2回連続でルーレット当選した場合は再抽選を行います。(レギュレーションによっては2回以上連続でスピーチすることを認める場合もあります。)

・必要に応じて、まだスピーチしていない人の当選確率を上げるなどの処置をとります。ただし、すでにスピーチした人の当選確率が0になると緊張感やスリルが失われてしまうのであまりおすすめしません(人数が多い場合や、時間等の都合がある場合はしかたない)

・少人数で行う場合や長くディベートがしたい場合は、終了条件を「全員が2回以上スピーチしたら終了」などにすると良いと思います。

・ラウンド終了後、ルーレットを回して当選した人がジャッジをするオプションも存在します。ジャッジを行わない場合は適宜参加者で感想戦をして終了となります。

 

 

 

オンラインブレイクラウンドにおけるポジションの決め方について

こんにちは。

 

年末くらいからブログ更新したい気持ちがあったのですが、あまり筆が乗らなかったので、簡単なトピックで少し物を書く練習をします。

ブレイクラウンドでポジションを決める時にどういう方法があるかというたいしたことのない話です。

予選ラウンドはタブが自動で振ってくれますが、ブレイクラウンドにおいては参加者を巻き込む形の何らかの方法で決めることが多いです。

オフラインだと前に出てきてじゃんけんをしたりするので明瞭ですが、オンラインの場合だとじゃんけんは微妙に難しいですし、大会の媒体に乱数生成bot機能とかがあればいい(ディスコードならありそう、ミクシディアは早く実装してほしい)んですけれども、ない場合も多いので、何らかのわかりやすくて透明性のある手段で乱数を発生させなくてはいけないわけです。

 

Tabbycatの自動アロケに任せる

ぶっちゃけこれでいい説を個人的には推しています。去年のK-Cupではこれだった気がする。

いちいち色々説明しなくて良い上に、そこそこの時短になります。

コミが何らかの恣意性を介在させようとする場合、何回もアロケし直しボタンを押せるという点で透明性に疑義が挟まれる恐れがありますが、性悪説を唱えはじめると予選のマッチアップにもジャッジアロケにも何でもかんでも疑わないといけなくなるので、まあ正当化できる範囲であると言えるでしょう。

大会の慣習みたいなものに特に興味がなければこれで良いと思います。

 

コミとかACの名前を選ばせる

これは説明がわかりにくい上に、特に透明性も担保されないのでやめたほうがいいです。

オフラインの場合、実際にそこにいる人が紙を持っているので、視覚的に理解できますし、透明性もあるし、ちょっと盛り上がる要素(親しい人を選んだらOGだったワハハみたいなやつ)もあるので良いと思いますが、オンラインだとそういったメリットは消滅するのでそんなに望ましくないです。

 

コイントスのアプリとかウェブサービスを画面共有する

Googleコイントスと検索するとコインを投げてくれるサービスが出てくるので、こういうのを使うとまだ視覚的で説明が少なくてもわかりやすくて、第三者サービスなので透明性も高くなるような感じがします。

BPに関しても、「あみだくじ」とかでググると適当なWebルーレットのサイトが出てくるので、そういうのを使うのはまあまあわかりやすいような気がします。

 

こういう感じでABCDを宣言させたらポジションが出てくるようにできる↓

f:id:kief_forensics:20210318210701p:plain

 

カメラオンにしてコインを投げたりくじを用意したりする

画面共有ができない(別の人がパワポで共有してるとか)場合なんかはカメラオンにして実際にコイン投げたりアナログなくじを作ったりすることもできます。

日本の硬貨どっちがTaleでどっちがHeadかわかりにくい問題はなくもないです。さっきググったところによると、日本の硬貨に表裏の規定はないが、造幣局は都合上製造年が書いてある方が裏として作業しているらしいです(十円玉は平等院鳳凰堂が表)

 

余談 

余談1:

即興ディベートで行われているところは見たことないですが、ブレイク順位順に好きなポジションを決められるっていうのも正当化できなくはないと思います(反論がそこそこきそうな割に熱意を導入するほどのメリットはないんで誰もやらないとは思います)

この間Youtubeで日本語アカデの全国大会見てたらよりスコアの高いチームが肯定側・否定側決められるようになっていました。詳しくは知りませんが、論題が決まっているアカデの場合はその論題におけるサイドによる有利不利が明確にある場合があるので、決勝もランダムだとむしろ望ましくないと考えているのかもしれません。 

補足:上に貼った動画は2020年秋季大会で、つい最近あった春季大会ではくじ引きだったとのことです。

 

余談2:

CDS(日本語即興ディベート)の大会は1位がGovで2位がOppという方式で少し驚きました。NAスタイルは普通にOpp有利なので2位のほうが有利ポジションにつけるという感じですね。12月の大会で1位ブレイクした時は決勝の論題が自分たちが公募した論題で、知財部の先輩と組んでいたので特許論題を公募していて、ちゃんと大会前日にGovOppのプレパをしっかりやって、ちょっとGov有利っすねっていう結論になった上でGovだったんで勝ちました。1位ブレイクしてよかった〜〜〜。

 

余談3:

特許といえば、去年一緒にJBPに出たやつが弁理士試験合格したらしいです。

おめでとうございます。

とあるOBがシルバーカップの投資論題を解説してくれたよ

こんにちは。

今日はシルバーカップがありましたが、とても良い大会でしたね。

 

R2ではツイッターが阿鼻叫喚地獄のようになっていた投資に関するモーションが出題されましたが、

とあるOB(匿名希望)が背景知識の解説を寄稿してくれたので、このブログで共有させていただきます。

 

 

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THW implement substantial measures to impose long termism in corporate investment culture (e.g. minimum holding periods for shares, yearly rather than quarterly financial reporting, long term executive compensation plan.)

 

モーション解説ではないものの一般的な理解をこのモーション解説をベースに書いていきたいと思います。このモーションですが、様々な論点が入り乱れ、また背景知識がそれなりに求められるモーションになっています。論題の解説ではありませんが、背景知識をおおまかに説明することでモーションの理解によりつながり、よいディベートになってもらえると大変うれしいです。

 

全体として

対立軸について

このモーションの対立軸は、「経営者(取締役とか)の権利」vs「投資家(株主とか)の権利」から出発するのではないでしょうか。背景には、おそらくアメリカでよく議論されている短期的な利益を追求することにより長期的な利益を害している、といった批判をベースに、それは短期的な利益の追求を目指す投資家からのプレッシャーによるもので、その投資家が長期的に物事を考えるようになれば、少なからず短期的な利益に対するプレッシャーは減るのではないか、ひいては長期的な利益にかんがみた会社経営がなされるのではないか、という問題意識が背景にあるモーションだと感じます。

 

さてモーションの内容を論じる前に、会社の統治(ガバナンス)の議論をする上で、必ず知っておかなければいけない概念をご紹介します。それは「プリンシパル=エージェンシー問題」と言われる、利益相反モラルハザードの問題であり、財政学や会社法で長らく議論されている問題です。

 

簡単な概要を記載したページを張っておきます。

みずほ証券×一橋 https://glossary.mizuho-sc.com/faq/show/1303?site_domain=default

大阪大学経済学部Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/watch?v=dgC2d-7EzpI

また参考文献として会社法の超簡単な本をご紹介します。この本はいかにこのモラルハザードの問題に会社法が悩まされているか、それをどのように解決しようとしているかを平易な言葉で説明しており、法学部生でなくとも十分に読むことが可能です。(語り口はかなり平易です。なおディベートにおいてこの本以上の知識はおそらく要求されないでしょうが、このレベルの知識がないと会社関連のディベートはできませんので、読んでいてください。)

会社法のみちしるべ 大塚英明(著)

https://www.amazon.co.jp/dp/B08P55H8BW/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

 

つまりプリンシパル=エージェンシー問題とは、投資家(株主)から信用され、私のお金を会社のリソースを使い増やしてください!と言われた経営者(取締役とか)が、投資家の利益ではなく自分の利益を追求するあまり、もともと信任してくれた投資家のいうことを聞かなくなる、という問題のことを言います。

 

そもそも投資家と経営者の関係とはどのようなものでしょうか。

投資家にとって会社とはお金を入れると、そのお金を増やしてくれる魔法の箱のようなとらえ方をしています。この100万円をあなたに貸すので、それを元手に増やして返してください、という考え方です。

しかし、投資家は例えば車の知識をめちゃくちゃ持っているわけでも、経営に関してめちゃくちゃ詳しいわけでもありません。その状態で例えばトヨタを使って自分のお金を増やしてください、と言われても無理があるかと思います。

 

そのために投資家は、会社の経営、つまり元手を使ってその元手を増やすべく、事業の運営のプロを自分のかわりに会社におき、その人に経営を任せることで、自分のお金を増やそうとします。つまり投資家と経営者の関係とは、投資家のお金を、会社を使って増やすべく、投資家が経営者へ会社の経営を「委任」する関係、つまり経営者は投資家の「代理人」ということになります。

 

さてここからが問題です。投資家は経営や事業については素人であり、車の作り方も知らなければ、車の売り方も知りません。車がなぜ走っているか、電気自動車がどういうものなのかもよく分かりません。一方経営者はプロなので、そのような知識を持ち、かつ経営判断を行うために、いろいろな情報が会社の中から集まります。投資家と経営者の間には情報や知識、経験の「非対称性」が存在します。

経営者がめちゃくちゃ理解ある人で、必ず投資家のためにベストを尽くす人ばかりであればそのような状態でも問題ないでしょうが、そこは海千山千を超えてきた、一癖も二癖もある人物でなければ経営は務まりませんが、そのようなずるい人に皆さんが自分のお金を貸すことを考えてみましょう。多分かえってきませんよね。(身の回りの一番「会社の社長っぽい人」を思い浮かべてみてください。)

 

経営者は自分と投資家との間にある「非対称性」を利用して、自分の利益にはなるけれども投資家の利益にはならないことをすることができます。つまり彼らの間には「利益相反」の関係性が常に存在することとなります。一番良い例が、経営者に対する報酬になります。経営者の報酬を増やせば増やすほど、経営者にとっては得になりますが、(後で解説しますが)投資家へ分配されるお金は減ることになり、ダイレクトに利益相反ですよね。またここまで露骨じゃなくても、経営がうまくいかず赤字であることを隠して、ずっと会社に居座りお金だけくすねて逃げることも原理的には可能です。(経営上の失敗です、テヘという言い訳を付けて。)

そのため、その「利益相反」の構図を前提として、経営者の暴走に歯止めをかけるものが、企業統治コーポレートガバナンス)の基本的な思想になります。

 

さて余談ですが、もし経営者と投資家が同じ、または密接な関係がある場合はどうでしょうか。例えば自分でお金を出して会社を設立し、自分で事業を運営している人、または町工場のように親族がお金を出し、親族で経営している場合。または親族でなくとも、よく知っている超優秀な人にお金を出してもらって自分のやりたいことをするようなケース、いわゆる「所有と経営の分離」がなされていないケースです。おそらくですが、あまり暴走ということを考えなくてもよいかと思います。人間関係もありますし、利益相反が起こりにくい構図と見えるのではないでしょうか。(逆になれ合いになるケースもありうるでしょうが、またこれは別の機会に。)

 

いっぽうで、投資家が見知らぬたくさんの人で顔も知らなければ、その人がいい人かどうかもわからないような状態であればどうでしょうか。裏切ってもどうせわからないでしょうし、心も痛まないという人が増えるのではないでしょうか。(僕はそんな中でもめちゃくちゃこころが痛みます、そんな人の気持ちはわかりません。)

つまり「所有と経営の分離」がなされているケースほど、上で書いた「利益相反」の構図は大きくなり、深刻になりやすい、ということになります。

(いわゆる株式を上場しているケースが最もよく当てはまります。)

 

その利益相反の構図を少しでもどうにかして、投資家による判断を助けようというのが、現在様々な法令で定められているものになります。例えば、有価証券報告書を提出することもそのうちの一つです。有価証券報告書とは例えばこんなものです。

三菱商事 有価証券報告書(2019年度)

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/fstatement/pdf/2019_04/y2019_04.pdf

三菱商事 四半期報告書(2020年度第一四半期)

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/fstatement/pdf/2020_01/y2020_01.pdf

 

その会社の経営の状態である財務諸表から、重大な後発事象、そのほか様々な投資に役立ちそうな情報が、みんなに開示されています。これは投資家に対し、現状はこのような経営の状態なので安心してください(注意してください)、という情報を提供するためのものです。

投資家たちはほかにもありますが、このような情報をみつつ、経営者がちゃんと自分のお金を増やすために動いているかをチェックするわけです。

(ちなみにこの有価証券報告書は出さなければいけないと法律で決まってるやつです。)

 

そしてこのような情報をたくさん集め、投資家(これ以降は株主限定で書きます)がこの経営者はいけてる、この経営はいけてる、を判断する場所が「株主総会」になります。

 

その株主総会での決議を通して、経営者を解任するか続投させるかを判断し、めでたくOKになれば、その経営者は引き続きその会社の経営を任されることになります。

 

長々と書きましたが、まず投資家と経営者の関係について、説明していきました。このモーションと何の関係があるねんと思われる方もいると思いますので、これから各サイドに従い背景や考えられる議論を考えていこうとおもいます。

 

サイドごとの議論について

GOV:経営者の権利

最初にまずは経営者の権利を見ていきたいと思います。

上でも書いたように、経営者による会社の経営は逐一、うまくいっているか、うまくいっていないか有価証券報告書や四半期報告を通して投資家に情報として与えられます。その情報を基に投資家は、経営者が本当にいい経営者かどうか、他の経営者に変えるべきかを判断することになります。

 

投資家、特に株主はどの程度利益が出ているか非常に過敏になることがあります。ここからは投資家には種類があり、株主は特にそこに対するこだわりが、構造上強くなります。
(ここの構造上という言葉が非常に重要です、悪い奴というわけではなく、リターンの構造上、株主は比較的経営に厳しくならざるを得ないのです。)

会社へお金を供給する存在は、大きく分け株式を保有する「株主」と債権や融資をする「債権者」に分けられます。そしてここの概念が非常に重要なのですが、「株主」へのリターンは「債権者」に劣後し、かつすべての費用を支払った後のお金(の一部)が株主へのリターンになります。

 

例えば、売り上げが100ある会社があるとします。材料費30や人件費30を支払った後、借りた他人のお金(借入や社債によってもらったお金)への利子10を支払います。この時点で(元本はべつですが)債権者はリターンをいったんは得ることになります。一方その後、そのほか諸々の支払い10をし終わり、政府への税金6を支払った後余ったお金14があります。(いわゆる当期純利益です。)その中の一部のみが配当=株主へのリターンとなります。

逆にいうとそこまでにお金が残らなければ、一切リターンをもらうことができなくなります。

 

株主は利益が0であればリターンがもらえないため、経営者に対し、厳しく利益を出すように要求するような構造になっていることがお判りでしょうか。

つまり株主は経営者に対し、利益をだすことを要求し、またすべての支払いが終わった後のお金は基本的に株主のものになりますので、儲ければ設けるほど自分へのリターンは大きくなります。また一年でも利益が出なければ、リターンはないので、一年でも赤字になることは極端にいやがります。

 

そのため、株主は利益を出すこと、またよりリスクを取り利益を大きく出すことを要求することになります。(逆に融資をする銀行は、安定していれば利息を回収できるので、あまり大きくリスクを取らずに経営してほしいことかと思います。そのため銀行や社債権者はこのモーションのスコープ外になります、短期的な利益を追い求める投資スタイルではないからです。むしろ住宅ローンの35年ローンを例にとると、なるべく長く、安定して生き残ってほしいと思うことでしょう。)

以上より、経営者に対してのプレッシャーは株主が非常に大きくなります。

(ディベーターの皆さんが、ShareholderからのPressure!ドヤ顔というときは背景にこんな事情があるのです。)

 

また経営者の報酬は、株主総会において株主が決定することになりますので、自分が株を保有する期間は、より大きく利益を出してもらうよう、経営者の報酬制度を確定しインセンティブを与えることになります。

 

最近は日本でも、株主が経営者に対し厳しい要求をするような事例が増えてきており、アメリカのような感じになってきています。そういう人たちを物言う株主と言いますが、有名なのは香港をベースとした「オアシス」や村上さんが設立した「村上ファンド」があります。

彼らの主張は基本的に公開されており、一部は下記のサイトで見ることができます。

オアシス https://ja.oasiscm.com/category/engagement-campaigns/

村上ファンド http://reno.bz/

村上さんの本 生涯投資家https://www.amazon.co.jp/%E7%94%9F%E6%B6%AF%E6%8A%95%E8%B3%87%E5%AE%B6-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%91%E4%B8%8A-%E4%B8%96%E5%BD%B0-ebook/dp/B0824RMW56

 

さてこのような投資家に対し、逐一情報が開示されるとどうなるでしょうか。

健全なうちは利益をしっかり出そうと頑張るでしょうが、会社はそう常に黒字にできるわけではありません。また会社によっては、種を植える期間や研究開発をする期間、設備投資をする期間があり、思うように利益が出ない期間もあるでしょう。

 

そのようなときに利益を出さなければいけない、かつ四半期レベルで業績が開示された場合はどうなるでしょうか。例えば無理やり人件費を削る(クビにしたり)、研究開発費を削る、短期的な利益を無理やりひねり出すようなインセンティブを経営者に与えることになるでしょう。しかも投資家は事業に関しては素人(比較的)であり、今は成長のための投資をしている時期です、という説明も通用しない場合があるのではないでしょうか。

 

つまり長期間での保有や投資のみを許すということは経営者に自由を与え、経営者の裁量でものごとを判断することがより容易になります。またいわゆる種まきの期間においては、むりやり利益をひねり出すことを要求されないか、されたとしても聞かなくてよくなるので、より柔軟な経営判断ができるようになるでしょう。

 

このような背景をつかみながらケースを作っていくといい感じになるかと思います。

 

OPP:投資家の権利

このモーションは投資家の短期的に利益を得る権利を一部放棄させることになり、また情報への権利を奪うことになります。

 

金融というのは、お金があるひとがない人に対し、何らかの方法でお金を渡すことを指します。投資家は「お金がある人」に該当しますが、投資家によりどの期間「お金がある」状態なのかは千差万別です。今はお金が余っているけど、3か月後には10%増やさなければいけない人もいるでしょう。(考えにくいですが例えば子供の養育費を払う必要がでたり)後は遊ぶお金がいる人もいるでしょう。人によってお金が必要となるタイミングは様々ですが、短期的に利益を求める人の利益も長期的に利益を求める人の利益も等しく保護されるべきではないでしょうか。

 

そのように投資家とは、期間ととれるリスク、投資対象とする資産などをベースにおおざっぱに分類することができます。

例えば年金基金や保険会社のような人の年金を運用するような投資家は、いったんみなさんからお金を保険料や年金という形でお金をもらったのち、株や債券などに投資をする投資家となります。年金を払うまでは、若い人であれば30年から40年後でしょうから、(若干正確ではないですが)返すまでの40年間なにかに投資し増やすことができます。増やせば一人の人の保険料や年金を元手にもう一人の年金も賄えるかもしれません。そのため一般的にそのような投資家は、長期間の利益を目指すことになります。

ちなみに日本の年金運用はGPIFという機関があり、一時期この期間が株式や外債への投資比率を増やすときにかなり批判が巻き起こりました。詳細は以下を見てください。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-31/Q7Z8DBDWLU6B01

一方、2年や3年で投資を回収しなければいけない投資家もいますので、その人たちは2年くらいのみ株を保有し、リターンを目指すことになります。

 

上で書いたように、投資家として短期的に利益を追求する必要、短期的な資金需要がある中で、なぜ長期的な利益のみを目指さなければいけないのでしょうか。

 

そもそも投資家には種類があり、うえで書いたような大きなお金を投資するいわゆる「機関投資家」のほかに、一般投資家と呼ばれる投資家がいます。そうです皆さんが株を買った場合は、あまり会社の経営に口を出すことのできない弱い投資家になります。

上でも書きましたが、株主が会社の経営に口を出せる場面は株主総会であり、保有している一株(正しくは一単元株ですが、そこは置いておきます)につき、一つ議決権がもらえます。

株主総会での決議は基本的に多数決であり、過半数(議決権の5割以上)を取得することで議案が通ることになります。一般の投資家はしょせんお金もそんな持っておらず、株価とかを見ればわかりますが、一株10万円以上するような株も珍しくありません。

それを100万株とか買い集めないと過半数は到達せず、ふつうは無理なので特に株主総会でも弱い立場に置かれます。

 

皆さんが日頃思っているのとは逆に、一般投資家は非常に弱い立場にあり、皆さんが例えば100万円だして議決権の1%を握ったとしても(もちろんそんな安い株はありませんが)、会社や経営者からすると雑魚がなんか騒いでるレベルのインパクトしかありません。

 

そのような弱い立場の投資家が自分のなけなしのお金を投資しているにもかかわらず、経営者へは何も意見できず、情報もあまり開示されず、しかも一度買った株は5年間売ることができなくなった場合、どうなるでしょうか。

おそらく経営者は、より投資家のいうことを聞かなくなるでしょう。

 

投資家はよくわからないこと、つまり情報が少なく自身で判断できることがすくない場合、安定性がひくいという意味で「リスク」を追うことになりますが、そのリスクをとる代わりにリターンを要求することになります。つまり長期間しか投資ができなくなると、期間に対するリスクも上がることになり、要求するリターンは上昇することになる可能性も出てきます。そうなるとぎりぎりお金を投資家から調達できている会社にとっては、負担が重くなり思うようなお金の調達ができなくなり、経営に支障をきたすこともあるかと思います。

※一般的な意味でのリスクは、悪いことのみに使われると思いますが、金融においては「不確実性」という意味でリスクという言葉を使います。仮に株価が下がることが分かっていれば、その株をショート(空売り)すれば確実にもうかります。上がるか、下がるかわからないことをリスクとみなします。

 

(少々細かい論点とはなりますが、株は銀行の融資とかと違い、株を買った後元本を返すとかはありません。会社にとっては元本を返さなくていいお金になります。つまり株主は、経営者がいくら下手をこいても、株を買った金を返せとは言えず、リターンが出なければそのまま紙切れを持ち続けることになります。(それにたいしそもそも借り入れは元本を返すものですし、また銀行はお金を貸すにあたり、コベナンツというものを設定し、例えばお金を返せなかったり、利益が一定水準を下回ったりすると、即効元本を支払え、という契約を締結することができます。)

そのため、自身の株を市場で売り、投資を回収することができるといういみで「流動性」という概念があります。つまりいつでも売り買いでき、投資を回収できるという意味です。つまり流動性がなくなると自身の投資が回収できず、そのリスクを「流動性リスク」と言います。これもリターンの要求をあげる一因になる可能性があります。)

 

終わりに

代表的と考えられる議論を紹介しましたが、ポイントは投資家と経営者の「利益相反」になり、すでに様々な法令や規則がこの関係をどうにかうまく収めようと頑張っています。

ただしディベートにおいて、上の事情をすべて話そうとするとよくわからないことになります。実際のディベートの争点や相手とのクラッシュを考えつつどこまで説明が求められるかは都度取捨選択をしてください。そこがディベーターの最も腕の見せ所になると思います。

 

実際に株を購入し投資家となる場合には、このような背景を理解しつつ、考えられると面白いのではないでしょうか。

 

なおいくつか参考文献を紹介します。

  • 金融取引にイメージを持ってもらうための小説:ハゲタカ(ドラマもあります)

https://www.amazon.co.jp/dp/B00GXRUJ6E/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

 

https://www.amazon.co.jp/dp/B01LXGPLE4/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

 

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%96%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%E5%88%86%E3%81%8B%E3%82%8B%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B9-%E7%B5%8C%E5%96%B6%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%92%E7%A3%A8%E3%81%8F%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E8%B2%A1%E5%8B%99-%E5%85%89%E6%96%87%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E7%9F%B3%E9%87%8E-%E9%9B%84%E4%B8%80/dp/4334033970

 

  • 株ではなく社債というもう一つの投資対象:入門社債のすべて

https://www.amazon.co.jp/dp/B06XRRY8BF/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

 

  • 今回の内容を政府の立場から論じているような財政学:財政学の扉を開く

https://www.amazon.co.jp/%E8%B2%A1%E6%94%BF%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%89%89%E3%82%92%E3%81%B2%E3%82%89%E3%81%8F-%E6%9C%89%E6%96%90%E9%96%A3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2-%E9%AB%98%E7%AB%AF-%E6%AD%A3%E5%B9%B8/dp/4641150826

 

  • 経営者の人生を読む:運は創るもの(ニトリの創業者)

https://www.amazon.co.jp/%E9%81%8B%E3%81%AF%E5%89%B5%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE-%E7%A7%81%E3%81%AE%E5%B1%A5%E6%AD%B4%E6%9B%B8-%E4%BC%BC%E9%B3%A5%E6%98%AD%E9%9B%84-ebook/dp/B0176AHMAW/ref=sr_1_1?dchild=1&qid=1612617366&s=books&sr=1-1-catcorr

 

 

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追記

TDAの小野代表に、過去に同一のモーション解説を書いたということを引用リツイートいただきました。こちらもご参考にしてください。

 

某メーカー知財部のやつと特許モーションのプレパをした結果www

こんにちは。

 

JBPに出ようと思うので、プレパ練をしていたのですが、一回目はアイデアがそこそこでるモーションで感覚を取り戻すのがいいだろうということで、特許系のモーションのプレパをしました。

結果として、そこそこ良さそうなケースができたので、文字に落としてみます。

ちなみに他の種類のモーションはマジでスカスカのアイデアしか出なかったので、大会に対しては危機感を覚えています。大事なラウンドで知財モーションが出題されればなんとか。

 

人物紹介

知財部のやつ:

某メーカー知的財産部勤務

年間100件以上の権利化業務に関わっている

秋Tで決勝にいったことがある

 

・ぼく:

某メーカー開発部署勤務

これまでに出願した特許は2報

秋Tで優勝したことがある

 

 

モーション

WSDC 2016 R5(prepared):

THBT technology companies with significant market shares should not be eligible for patent protection

和訳:市場において大きなシェアを持つテクノロジー企業は特許による保護を無効にするべきである。

→メーカー勤務として明らかにやりやすいOppのプレパをしました。

テクノロジー企業の定義は製造業もIT系もひっくるめて考えています。

 

Oppのケース

 ・特許の公開によって技術を発展させることができるため、社会的な便益がある

(1)特許は直近で実施するような技術に限らず、やや先の将来にならないと実用化できないような技術を発展させることを促進・権利保護する側面が存在する。

(2)特に、経営が安定している大企業は直ちに実用化が期待できるわけではない技術に対しての研究開発に対して投資できるキャパシティがあるため、こういった将来の技術的発展には大企業の研究開発というものが必要不可欠である。

(3)特許として出願された技術は1年6ヶ月後に公開されるため、別の企業が特許公報を読み、その技術を踏まえた上でそのベース技術を応用した技術を開発し、特許出願するということが頻繁に生じる。この場合、ベースの技術の特許と応用技術の特許の権利をそれぞれの企業が所持することとなるが、その応用技術が魅力的である場合、ベース特許の権利を持つ企業が応用特許をライセンス契約(使用料を払って特許の使用許可を得ること)したり、あるいはお互いに実施できるようにクロスライセンス契約を結んだりする。

(4)このようにして、大企業が将来の基礎技術を開拓して、他の大企業や中小企業などがその基礎を踏まえて、実用化のための製造方法や応用の研究といった深耕を行い、社会技術が発展するというサイクルが現状行われている。

(5)また、大企業はこういったサイクルを理解しているし、実際に単独で実用化まで持っていけるかわからない技術を秘匿するメリットは薄いため、特許としての出願を推奨することが多い。

(6)プランを採択した世界においては、大企業は権利化ができない基礎研究に割く予算を低減させるし、企業が持つあらゆる技術をなるべく秘匿しようとするため、特許化された技術のライセンスでの相互利用による技術発展は大きく遅れる。これは社会的に大きな損となる。

インパクトは環境とか医薬とかの人間に影響が大きそうな例をいい感じにイラストする

 

財産権みたいなアーギュメントもあると思いますが、書くの疲れたのでこれだけにします。

 

Govの議論に対する反論

・権利の独占によって、購買者に対して不利益が生じるみたいな話

(1)自社実施しないのに、権利だけ保持するような場合について

(a)自社実施する可能性がない特許をただ持っておくのは単純にメリットがないし権利維持にはいくらかのコストもかかる。実施したいと考えている会社にライセンス契約をすることで数%のライセンスフィーがもらえるので権利だけ保持して他者に実施させないというのは考えづらい。

(b)もし仮にそういった企業が重要な特許を実施しないのに保持し続けた場合においても、権利者が数年間実施していない特許に対して、実施を希望する企業や人が強制的に実施権を得ることを特許庁に訴えることができる規定が存在する。

 

(2)自社実施する場合に、特許によって競争が阻害されるかどうかについて

(a)そもそも特許権は研究開発への投資の結果としての権利であり、それが市場にとって他が持たない魅力的な技術なのであれば、価格の上乗せは正当な対価であるため問題がない。

(b)いくらsignificant market shareといっても、2番手・3番手の企業との競争が全くないような業界というのはレアケースであり、もしそういった業界である場合、そもそも特許権以前に反トラスト法の領域の問題であるため今回の論題とは関係がない。2番手・3番手の企業もそれなりの大企業であることが一般的なので、スマートフォンや自動車などの数多くの技術が盛り込まれた製品において、お互いが製品に対して不可欠かつ回避不可能な特許を持っている場合が多い。そういった場合、クロスライセンス契約を結んでお互いに抵触する特許の使用を許諾するというようなケースが多く、結果としてお互いに製品を適正な価格・品質で販売することとなり、消費者は競争による便益を享受することができる。

 

特許権は社会的便益のためにあるみたいなプリンシプル

(1)特許権は財産権としての側面が強い。他の財産権で例えるならば、誰かが作った音楽を自由にコピーして無料で再配布したり、誰かが所有している土地を好き勝手に利用できないのは、社会的な便益以前に、その人がその財産に対して権利を持っているからである。

(2)大企業と中小企業の特許取得に対して格差が存在していたとしても、それは大企業が良い製造設備を取得することができたり、良い広告戦略を打つことができたりすることと本質的な差はなく、他の知的/物的財産権との線引きをする必要がある。

(3)仮に社会的意義とのバランスが必要であるとしても、20年で失効して公知の技術となるという側面でバランスが取られている。大企業に対して一切の権利を認めない正当性はない。

 

 

おわり

ついに日本語即興ディベートの大会に出た

こんにちは。

 

約2年前から興味を持っていた日本語即興ディベートの大会についに出場しました。

日本語ディベート歴としては、オフィシャルなものでは大学4年生の時に「やったるで阪大」という今はもう活動していない日本語ディベートサークルとして、準備型日本語ディベートの新人戦の大会に出たことがあって、新人戦なのに議論の質たけーなーと感じたことがあります。全勝でしたが普通に点足りずに決勝行けなかった。

 

そういえば最近牛レバー的な話題がありますが、上記の経験や日本語ディベーターの方々の大会記録系の記事を読んでいる感覚として、日本語アカデは「現実の世界で実際に交わされる論からかけ離れたゲーム性を重視した議論」よりも実際の議論に近い質実剛健な論を好む傾向にあるような印象を持っています。

おそらく英語パーラの人々が混同しているのは、英語アカデでそれなりに是とされているスタイルで、純粋に論理ゲームとしての側面を追求したような議論が流行ることはあるようです。(たとえばよく聞くのが、死刑廃止論題でNEGの「現状刑罰が死刑のみの外患誘致罪だけをexceptして死刑存続し、他の罪による死刑は廃止するカウンタープラン」が流行したことなどでしょうか)

ちなみに個人的にはこういったスタイルもわりと好きで、興味深いゲーム性をしていると思っています。英語アカデの大会も3回くらい出たことがあります。

 

 

今回の大会に出た経緯ですが、日本語即興ディベート団体であるCDSプロジェクトのオンライン大会開催が発表されて、我々英語あんまりうまくない英語パーラ勢は沸き立ってたんですが、学生大会であることが発表されてしょんぼりしたものの、なんやかんやあって負けサプリ(パーラでいうシャドウもしくはスイングの、タブ上でオートマティック負けになるバージョン)として出れることになりました。

 

思ったことを雑多に箇条書きで書きます。(ブログを最近更新していなかった影響で、まとまった流れのある文章をうまく書けなくなっているため箇条書きです)

 

楽しい

スピーチをしていてアドレナリン(脳汁?)みたいなやつが出る感覚があると楽しいなと感じるんですが、日本語ディベートはその頻度が高いような気がします。

外国語という言語的バリアが取り除かれて、考えたことが高い再現度で出力できるというのはかなりストレスフリーですね。

英語だったらうまく伝えきれないニュアンスを出せたりとか、例の説明がスムーズで解像度高かったりとか、気持ちよくなる要素が随所に存在しています。

キャッチーなワーディングを1スピーチで複数個褒められるという、英語ではこれまでになかった経験をしたというのもあります。

 

情報密度は濃い

コンスト5分のフォーマットですが、普段と同じくらいのプレパで同じくらいのメモを書いて5分間で収まるので、英語で7分スピーチするのと単純計算で7/5倍の密度で発信できていると考えられます。もっというと英語よりも細かいニュアンスを足したり例の説明を細かくしたりしているのでもうちょっと密度は高いように思います。

相手のスピーチを聞くことに関しては、全員がそういった情報密度で話してくるので、国内大会の英語スピーチを聞くよりも疲弊する可能性があります。

 

現状ではおそらく英語パーラ勢がけっこう有利

入賞チームがほとんど(6チーム中5チーム?)英語パーラの人たちだったというのもありますし、実際にプレイしていてフォーマット/言語の差によるストレスをほとんど感じなかったというのがあります。いつも通りのプレパをして、ストラテを考えて、ケースを建てて、出力する言語だけ違うって感じですね。逆に日本語アカデ勢はフォーマットとか、ストラテとかの違いに苦労してそうな印象を受けました。

とはいえ、実際に対戦した感触としては、日本語アカデの人たちも普通にレベル高いなと思っています。今回負けサプリだったので、常に0勝のチームと当たるようになっていて、3ラウンドとも日本語アカデの経験者との対戦だったのですが、どのラウンドも普通にクローズでハイレベルでした。特にミクロな議論や反論が丁寧だったイメージがあります。

アカデ的な用語(DAフローとか伸ばしてくださいとか)とパーラっぽい単語(代替可能性とかプリンシプルとか?)が入り混じったラウンドは異種格闘技感があってなんかいいですね。

 

英語パーラOB・OGに対する潜在的な需要は結構大きいような気がする

今回出場していた神大OGのFさんもそんな感じのことを言っていたのですが、「ディベートは楽しいけど英語はもういいかな」というようなことを思っているOB・OGは結構多いような気がします。

他にも、「しばらく離れていたせいで英語ちゃんとでなさそう・聞けなさそうだから再開する敷居が高い」とかを考えている人もいると思います。

そういった人たちの受け皿・遊び場として日本語即興ディベートはかなり良いと思っていて、門戸を開けばちょくちょく出たいと考える人は結構いるんじゃないかと思います。

ちなみにぼくも英語はもういいかなと内心思いつつも、ディベートの楽しさと他の趣味の無さによる動機が上回ってディベートを続けている派です。

 

講評

アカデ特有(?)のジャッジ文化として、RFDのかなり終盤に勝敗を伝えるというのは興味深いです。聞く側としてはすごくそわそわするので個人的にあまり好きじゃないですが、話を聞きながら「お、これは勝ったか?」「いや怪しいな・・・」って考えたりパートナーとチャットしたりするのは楽しいっちゃ楽しいですね。あと勝敗をさっさと出さないほうが内容をちゃんと聞きがちという効果を狙った文化かもしれません(RFDする側だったらやってみたいという気持ちもあります)。

決勝後に全体に対して講評(チェアによるジェネコメとRFDの説明)をするというのはオーディエンスに対して教育的でとても良いシステムだと思います。

ちなみに決勝戦の主審で講評をされていたakさんがもうすぐ即興ディベートの本を出版するそうですね。ぼくは速攻で予約しました。

 

音源

せっかくなのでR3の自分のスピーチを貼ってみます。MGだけです。

「プラクティカルな・・・実利的なメリット」とか「コンパr・・・比較」とか「パワ・・・効果」とかのカタカナが漏れ出て修復を試みている箇所はありますが、そこそこちゃんとしてる感がありますね。強調する時に関西弁の「めちゃめちゃ」を使っているのはよくないですが。

「幼少期の舌は苦いものを毒だと認識する性質があるのに、炭酸と甘味料で飲みやすくしている」、「魔剤魔剤言って楽しそうに飲む」みたいな明らかにぼくの英語力だとすっと出てこないような表現が日本語だとぬるぬる出てくるのも良いですね。

 

おまけ

ちなみに約2年前の記事の最後に書いた、「JPDUの規約には何語でディベートするか規定したものはない」ということに関して、今確認してもやはり言語指定はありませんでした。

各大会のブリーフィングスライドも、このことを書いたのを気に注視していたのですが、ジャッジする言語を規定したものはあっても、ディベートする言語は規定されていないことがほとんどなので、JPDUの大会でGFで突然日本語でスピーチするやつが出現したとしても、対処する方法が明確化されていないというセキュリティホールを抱えていることになります。

 

CDS Projectの大会ルールにはスピーチは日本語で行う規定がありますので、うっかり英語でスピーチをすると反則になります。

これを逆手に取って日本語化していないディベート的外来語を使った相手に対して反則負けを訴えるという戦術が頭に浮かびましたが、これがうっかり取られて流行するとみんな安全のためにすゑひろがりずみたいなスタイルのスピーチを行う界隈になってしまう可能性があるのでやらないほうがいいと思います。

ポストコロナのオフライン大会に想いを馳せる

こんにちは。

 

緊急事態宣言が多くの地域で解除されて、ぼちぼちオフラインのイベントごとが再開され始めるのではないかと存じます。

オフラインのディベート大会が今後再開されるとして、それに想いを馳せたいと思います。

 

 

・換気、除菌は徹底的にする

→まあこれはそうですね。冷房の効きが悪くなっても窓は開けるべきだと思います。

あとORの扉とかは接触感染の原因になりやすいので特に除菌するor常時開放にして誰もドアノブを触らないようにするとかがいいと思います。

 

・マスク着用義務はしたほうが望ましい気がするが、不快指数の高くなる時期においては社会的要請次第か

→夏場のマスクって非常に蒸れるので、他のイベントごとがどうしてるかに倣うのが良い気がします。熱中症リスクがあるとなると問題は難しくなりますね。

 

・壇上からかなり広めに距離を取って座る。ジャッジはスピーカーの発話方向の直線上に座らない

→これは低負荷かつチームメイト間外の飛沫感染を防ぐのでやって損は無いと思います。

飛沫は最大5m(くしゃみ時)くらい飛ぶらしいので、チームもジャッジも壇上から6-7m離れたところに座るのが良いと思います。

 

・フィードバックもORでやらないほうがいい

ラウンド後ORに戻ってフィードバックをすると、ORはうるさいので、密になっての大声での発話が発生することになるのでよくないですね。

タイムマネジメントが難しくなるので運営負担増えそうですが、ラウンド部屋で距離を取った状態でそのままフィードバックするのが良いと思います。

 

 

・検温とか海外渡航歴とかの申告

→自己申告にはなる気がしますがやったほうが対策してる感があって良いですね(個人的には無症状者からの感染がかなり多いウイルスだから効果にはやや懐疑的です)

 

・チーム間がどうしても密になるという問題がある

→パートナーと距離をとってプレパやラウンド中のやりとりをするというのはどうしても難しいという問題があります。

クラスター化を避けるという思想であれば、大会を通じて他の不特定多数の参加者からの感染リスクが十分に対策されて、特定少数のチームメイトからのみ感染リスクがある状態というのは一応肯定できなくも無いといえば無いですがどうなんでしょうね

 

【クソ記事】ジャッジ提供数

nをジャッジ提供数とすると、

n=n

nにどんな数を代入しても式が成り立つので、各チーム何人ジャッジを提供しても良いと解釈できる。

 

n=1

出場者は1人ジャッジ提供をすれば良い。ただし、チーム数が定義されていないので、何チーム出してもn=1で良いと解釈できる。

 

n=N(ただしNは出場チーム数)

出場チーム数の数と提供ジャッジの数を等しくすると解釈できる。

 

追記:

n=n-1

nにどのような数を入れても成立しないので、誰も大会に参加することができない。

なお、式変形をすると1=2になる。

https://ja.uncyclopedia.info/wiki/1%3D2

 

n=0

どの参加者もジャッジを提供しなくても良い。n=1の場合とは異なり、大会側の意図と解釈に齟齬は生じ得ない。